サイバーボッツ/アーケード ゲームトラック
ソニーミュージックエンターテイメント 1995年8月2日発売(廃盤)
パワードギアの攻略が終盤を迎えたころ、突然発表された、同じメカを使った格闘ゲーム。パワードギア同様にギターを中心に据えた「かっこいい」「熱い」サウンドが特徴ですが、リードギター1本(と、バッキングギターとベース)でガシガシ鳴らしていたパワードギアに対し、こちらはシンセ、オケヒットを効果的に使い、「ドラマ性」の強化がサウンドに表れています。その「ドラマ性」が本作のテーマではないかと思います。
好きな作品ほど言語化するのが難しいなあと思っていて、本作も筆者にとっては思い入れの大きい作品ですが(格闘ゲームをクリアできたのはこれを含めて2作品しかありません)、当時からアルバムに物申したいのは、「3ループで2枚組」である点。なんでや…2ループで1枚でええやん…収録時間の関係なのか、それとも2枚組にして価格を上げようとしたのか。当時のソニー発売のカプコンアルバムは、サイトロン盤に耳慣れた世代にとっては「よくわからない編集」のものが多いのが難です。
本題に入って、推し曲のお話です。
「Megalopolis」は、前作パワードギア1面曲のアレンジです。結構大胆にアレンジされていますが、メロディラインに面影が聴き取れます。こちらはオケヒットが入り、ロボットヒーローものらしい熱さを感じさせます。
イントロが印象的な「GAITS Theme」。海田明里氏の作曲です。「めちゃ悩んだのでなんか変な曲になってしまいました」(ライナーより)とありますが、とてもかっこいい曲に仕上がっています。
落下する「POWER STATION」で、熱い戦い、熱い曲を聴くことができます。名曲なのですがストーリーだと特定キャラでしか聴くことができません…!シンセのメロディがとても熱いですね。
「COLONIAL SATELLITE」のイントロとメロディは静かなイメージです。そこにバッキングのギターが入り、本作らしさを表しています。サビのベースとバッキング、さらに重なるブラスが印象的です。
「VOLCANO」は、本作では珍しく、ギターではない曲です。オーケストラ調で、火山地帯の戦いを彩ります。オケヒットがシリアスな雰囲気を高めています。
そして、本作一番の人気曲?有名曲?「SUPER 8 Theme」は、メタルと演歌の融合したゲーム音楽!!一度聴いたら忘れられないphraseです。(パワードギアでは真面目な2ボスだったのになあ…)歌詞もあります。ライナーには2番までしか載っていませんが、設定資料集に続きの歌詞が載っています。筆者は4番まで全部歌えます!
「AIRPORT」は岩井孝之氏作曲、氏らしいギター前面押しの曲です。(余談なんですが、氏の曲を「パワードギア」「サイバーボッツ」で認識したので、後に氏が「ティンクルスタースプライツ」PS2版を担当されたのが、あまりにも印象がぶっ飛びすぎていて、幅の広さに驚きます。)
海底での戦いを描く「UNDERWATER 1」&「UNDERWATER 2」。ギター使われてないなーと思っていたらちゃんと入っていました。カプコンらしい「泣き」要素の曲です。個人的には「2」を推します。真夜中に聴きたい、そんな1曲です。
人気曲の「HELION Theme」、ギターが前面に出ていたパワードギア5面ボス曲と異なり(別の曲ではありますが)、ブラスシンセがメロディになり、ギターはちょっと後方へ。ですが速い弾きのギターがボスとの戦いを盛り上げてくれます!
「SPACE FLEET」はCPU戦で聴くことのできないレアな曲です。この曲の面ではCPU戦だとボスが出てくるので、対戦時限定の曲です。「VOLCANO」同様、オーケストラが盛り上げてくれます。
筆者の密かなお気に入り、「DOOMSDAY WEAPON」。これも特定キャラのストーリー終盤にならないと聴けない曲です。「SUPER 8 Theme」と同じ方が作曲。ホンマか…(演歌とシリアスで、ノリが違いすぎて。)ライナーで「ねちっこいフレーズ」と言われている、けだるいギターの弾きがたまりません。イントロ、アウトロのバッキングもかっこいいですね。
「WARLOCK Theme 1」、サイバーボッツでは「悪のボス」らしさが高まったように思えます。(パワードギアでは、「宿敵、ライバル」というイメージを受けていました。)ツインギター前面!!バッキングもかっこいいです。対して、「WARLOCK Theme 2」はサンタナのストーリーラスボス専用曲。本作のkeywordでもある「哀しみ」を表現した曲です。
エンディングは、おちゃらけもシリアスも、それぞれ画面と曲が一致しているのが本当に素晴らしい演出です。一番好きなのはガウェインのエンディング2曲ですね。(筆者の推しキャラはマリーですが。)
CPシステム2、Qsoundに入ってからのカプコン作品の曲は、それまで「音の弱さ」時代に培ってきた「じゃあどう表現するか、どう聴かせるか」というskillを開花させ、「映画音楽」のような「画面と音楽の融合、臨場感」を伝えてくれます。サイバーボッツもその1作品として、そして、後のCP2作品に、「映画音楽」の「ドラマ性」を伝えていると思います。
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