Misaki’s Game Music Box vol.77 FRONT MISSION

フロントミッション オリジナルサウンドトラック
NTT出版 1995年2月25日発売(廃盤) →再販 2004年10月1日発売(廃盤)

https://music.apple.com/jp/album/front-mission-original-soundtrack/251682394
https://mora.jp/package/43000021/SEMO-00038/

「switch版リメイク…まだっすか…」(2022年夏発売予定だったはずですが、夏ももう終わろうとしている…)
久しくこの作品をplayしていないので、大筋しか内容やstoryを覚えていないのですが、曲を久しぶりに聴いて「この曲はこの場面で、こんな面で流れていた」というのを思い出せるのは、まさしく「曲の持つ力」だと思いました。下村陽子氏が「RPGの曲を作りたい」と、カプコンからスクウェアに移籍して、担当された作品です。共同で松枝賀子氏も担当されています。イケメンより機械が好きな筆者は、多感な時期にこの作品をplayしました。そして、今回久しぶりに曲を聴いて、当時は読み取れなかった、わからなかった気持ちや背景を感じ取れたような気がします。そして、当時から「主役級のキャラより、主役の一歩後ろで支えるキャラが好き」なので、サカタ推しです。
サウンドトラックは謎のプレミアがついてますね。なんでだろう…itunes等で気軽に購入できるので、そちらをお勧めします。筆者もitunesで購入しました。

メインテーマでもある、フィールド曲「Advanced Guard」。なんというか、この作品の曲は、激しくないのに、静かに闘志を高まらせてくれるものが多い気がします。
筆者の推し曲その1、夜戦面での「Mercenaries」。当時から泣ける系切ない系に弱かったんですね。メカもの、戦闘ものでこの曲。夜闇の中での傭兵の呼吸、「生」を感じさせます。
storyが後半になってから聴けるフィールド曲「The Evils of War」。この曲が聴ける頃になると、自軍も強くなっていますが敵も強いので、操作するのが楽しくもあり緊張感もありました。その緊張感を高めてくれる曲です。「敵に対する怒り」のようなものも感じさせます。
戦闘シーンでは、自軍ターンで「Holic Shot」、敵ターンで「Hard Drag」が聴けます。前者は「攻撃する、撃つ側の緊張感」、後者は「防御する、攻撃される、避ける側の緊張感」を表していると思います。音遣いがお互い同じなのもすごく上手い表現だなあと思います。あと、戦闘曲では、終盤の「Mad Pressure」が好きですね。オケヒットが良い。
駐留する街によって曲が違うのもポイントです。「Optical City」「Coaxial Town」が好きです。
この作品では珍しくノリノリになれる曲が「Arena」。打楽器と、後半のオケヒットがノリノリ。ヤンさん勝ちまくってくれてありがとう。
そして…推し曲っていうほど「好き」と認識していなかったんですが、今回久しぶりに聴いて、「ああ、これはテーマ曲だな、泣くわ」と感じたのが「Kalen」です。「私、軍に入ったことは、後悔してる…」という彼女のセリフが甦ってきました。この作品のbackboneとなっているのは、ふたりの女性の存在だと思います。主人公の恋人カレンと、主人公に恋するナタリー。筆者がこの作品を好きなのは、「正義」とか「善人」の物語ではないからです。感情を殺して破壊する傭兵活動の中に、ひとを愛する気持ちがある。殺された喪失、無力感、やるせなさがある。死んだ恋人に嫉妬する感情がある。家族をあきらめられない気持ちがある。裏切りもあるし、信頼もある。メカものの作品ですが、描かれているのは、ありありとした「生」「人間(何度も言いますが、善人は描かれていないです)」の物語。主人公が持った「人間らしい感情」を描いたのが「Kalen」という曲だと思います。
「Natalie」もすごく人間らしい曲。本作はカレンの描かれ方が大きすぎて、ナタリーの感情はあまり表に出てこないんですが、彼女は一度本隊から離脱するほどには、主人公の事を愛しているのだと思うし、この曲が流れる場面では「私、バカだわ…」と、迷いに気づく。playした当時はそんな感情気づきませんでしたが、「ひとりの女性」なのだと思います。
「Kalen」で泣かせたところで、「Within Living Memory…」というエンディング曲ですよ。泣きます。あの一枚絵は今でも脳裏に焼き付いています。誰もが戦ってラスボスを倒した、だけど、「戦うことで誰も得るものはなかった」というエンディング。(主人公は「復讐を果たした」けれど、それで「幸せになった」わけではないです)サカタの「家族か…疲れた…」という一言をずっと覚えています。誰もが疲れ果てた結末。それに沁みるような「Kalen」のアレンジ曲です。
書いていて気づいたんですが、下村様が、わりと「戦いの場面での曲」をご担当されているのに対し、松枝様が「Kalen」「Natalie」というヒロイン曲(エンディングも)をご担当されているのも、おふたりの役割がそれぞれ大きいなあと感じます。

エンディングはもう1曲あります。「勧善懲悪」ではない物語の結末。愛するひとを失った主人公。感情を捨てなければならないほどに傷ついた人間を「再生」するのは、やはり「人」ではないかと、今回思いました。

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