Misaki’s Game Music Box vol.64 We are ROCK-MEN! 1&2

We are ROCK-MEN!
カプコン・セルピュータレーベル 2011年9月21日発売

https://music.apple.com/jp/album/we-are-rock-men/462627689

ROCK-MENとは。カプコンサウンドチーム所属、北川保昌氏と、青木征洋氏による2人組ユニットです。このアルバムシリーズは、言うならば「カプコン公式の、ロックマンアレンジアルバム」です。1も2も、原曲重視のアレンジが揃っている点に好感が持てます。そして、北川氏が打ち込み中心のアレンジ、青木氏がギター前面ロックアレンジを担当されています。
track1はオリジナル曲。そしてtrack2の、ロックマンではおなじみ初代の「GAME START」のギターでハートを掴まれ、track3「DARKMAN STAGE(SIDE-R)」で一気に気持ちを加速することが出来ます。人気曲のロックマン5「DARKMAN STAGE」は、このアルバムを象徴する曲ではないかと思います。(なにせ、アレンジャー違いで本アルバムに3パターンアレンジが入っている。)このtrack3は熱いロックアレンジです!
track4「CUTMAN STAGE」もロックマンには欠かせない曲ですね。打ち込みっぽくもありますが、バッキングギターが熱いアレンジです。
track5、ロックマンXより「OPENING STAGE」と、track6、ロックマンX2より「OPENING STAGE」。どちらも、SFCの音源を生演奏したら、こんな熱い曲に生まれ変わったのだと感じさせるアレンジです。メロディのギターの疾走感がかっこいいです。
track8「ARMOR ARMARGE STAGE」、ギターの早弾きでメロディが再現されています。繰り返しになりますが、原曲が大事にされているのが嬉しいですね。
track9はロックマン3より「ENDING」。ロックなギターではなく、泣かせるギターを持ってきています。原曲はループなんですが、このアレンジはきちんと曲として完結しているのがいいです。(終わり方がまた泣ける、青空を見つめるロックマンの背中が思い浮かぶアレンジです)
特筆すべきはtrack12、ロックマン3「STAGE SELECT」。原曲は短いのですが、その短い中に詰まっているphraseをうまくアレンジして、1曲に仕上げています。アレンジの巧みさが光っています。
ロックマン5「ENDING」、ロックマン2「TITLE」、そしてロックマンDASH「FLUTTER VS. GAZEL SHAFT」で明るくかっこよく締めているのがいいですね!
本アルバムは、「ロックマンのアレンジとは、こうだ!」という、公式からの回答のひとつではないかと思います。

We are ROCK-MEN! 2
カプコン・セルピュータレーベル 2012年12月19日発売

https://music.apple.com/jp/album/we-are-rock-men-2/583270723

1に比べ、オリジナル曲多めの2。ですが、そのオリジナル曲を担当されたのが立石孝氏(ロックマン2作曲者)!そしてtrack13の「FLUTTER VS. GAZEL SHAFT」は、DASHの作曲者、友澤眞氏(←ロックマン7もご担当)ご自身によるアレンジ。ファンにとっては美味しいアルバムです。
track2は、「THEME OF ROCKMAN Xover」。ギターがしみじみとかっこいい1曲です。
track3「NAPALMMAN STAGE」、track4「SKULLMAN STAGE」は、ファンにはおなじみの曲でしょう。どちらもかっこいい系アレンジです。スカルマンのメロディのギターが孤高でかっこいい。
密かに個人的お気に入りなのがtrack5、ロックマン3より「Dr. WILY STAGE 2」。このシリーズの中では大胆にアレンジされているほうですが、原曲、生きています。けだるいギターがなんとも言えないかっこよさ。
そしてtrack6とtrack7はロックマンX3より「EXPLOSE HORNECK STAGE」「DOPPLER STAGE 1」。どちらもギターが熱い!カプコンのSFCのギターは独特の音でしたが、それがアレンジされてかっこよく生まれ変わっています!
さらに!人気曲の「X vs ZERO」も熱いロックアレンジです。原曲はPS1のシンセサイザー中心でしたが、アレンジではギター中心!かっこいいのでオススメ!
公式盤でも数多くアレンジされている、ロックマン2「Dr. WILY STAGE 1」は、本作のアレンジがひとつの完成形ではないかと思います。非常に完成度が高いです。ギターの弾きも上手いと思います。カプコンの音ゲーにも使われていました。

ROCK-MENのアルバムは、どのアレンジも聴きやすく、そしてitunes等でも流通しているという意味でも入手しやすい、聞きやすいので、多くの方にオススメしたいです。「このアレンジ、好き!この曲、好き!」が、きっと見つかると思います!(2で終わりなのはもったいないので、3以降も出してほしいな!)

Misaki’s Game Music Box vol.63 エスプガルーダ

エスプガルーダ オリジナルサウンドトラック
ケイブ 2004年3月15日発売(廃盤)

個人的には、ケイブで一番曲が好きな作品です。トランス調でSTGらしいノリの良さと、メロディの良さを兼ね備えた本作。「歌えるトランス」だなあと(いい意味で)思います。版権の関係か、itunes等では配信されていないのと、ケイブ作品のサントラは発売当時から文字通り争奪戦で、今も入手困難であるのがとても残念です。
ノリが良いと書いてはいますが、この作品の曲の根底に在るのは「宿命」ということではないかと、メロディを聴いていて思います。selectの「秘密の力」から既に宿命めいたものを感じさせます。そして、決して明るくはない、1面「血別~血着」。ですが、自分の翼で飛び立つオープニングのように、「運命を切り拓く」というテーマも感じさせます。サビが好き。
メロディとリズムに合わせて乗れそうな2面「渓谷」。(曲に合わせてアイテム回収するのがとても楽しい…)人気が高いのは3面「巨大戦艦エリニエス」と4面「要塞都市」です。どちらもメロディの良さが際立っています。3面、曲のpartが進むごとに、音が重なり合っていくのがとても美しいです。(曲に合わせてパターン構築するのがとても楽しい…)4面はピアノが印象的ですね。そして、stage5-1「浮遊城ウツロブネ」は、最終面らしい緊迫感、「宿命」を感じさせます。

本作はPS2にのみ移植されています。言い換えれば、現行機への移植はされていないし、曲も配信されていません。非常にもったいないと思うので、版権関係をクリアして、移植もしくは曲の配信が叶うよう願っています。クリアできてないし…(個人的願望。)

Misaki’s Game Music Box vol.62 ダライアスII -G.S.M. TAITO 4-

ダライアスII -G.S.M. TAITO 4 –
ポニーキャニオン サイトロンレーベル / 1989年11月21日発売(廃盤)

えっ、全方位どこからどう見ても隙のない名盤では…?ダライアスII→名曲。ナイスト→名曲。アレンジ→名曲。オリジナル→名曲。表から見ても裏から見ても完璧すぎる…もう筆者の解説なんていいからとにかく原曲を聴いてほしいです。リンク貼っておきますから!!

【ダライアスII】
https://music.apple.com/jp/album/darius-ii/342888619
「神の視点からの『愛』をテーマに、聖書を読みながら作曲しました。」というライナーの言葉に全てが集約されていると思っています。最終面「say Papa」自体が「メインテーマ(木星)は生命(新星)の誕生をイメージして「兆し」「受精」「成長」「誕生」「未来」という五部構成からなっており…」(ライナーより)とあり、この曲だけで完結する捉え方もできますし、1面「OLGA BREEZE」を始点として、そこから誕生の「say Papa」に至るまでが一連の愛という捉え方もできるのではないかと思います。
「OLGA BREEZE」はお若い皆さんにも伝えたい1曲です。「始まり」をイメージする、優しい曲。(ツナサシミー)
筆者のお気に入りは4面「Cynthia」。パーカッションと、語り掛けるようなメロディがずっと好きです。サビに合わせてパーカッションを叩きたくなります。
そして、最終面に辿り着いた自機を優しく包み込むような、最終面「say Papa」。アレンジ曲「FREE THE LOVE」も収録されていますが、この曲はゲーム音楽史上初めての英語詞曲ではないかと思います。(違っていたら失礼)
「このCDを聞いて”やさしい”気分になってくれればウレシイナと思います。」(ライナーより)と、作曲者の小倉久佳氏。攻撃、破壊だけがSTGじゃない、タイトー作品の一つの側面「愛」を聴くことが出来ます。

【ナイトストライカー】
https://music.apple.com/jp/album/night-striker-arcade-sound-tracks/331626961
作曲は高木正彦氏。もちろんテーマは「夜」だと思います。言葉はなくても、孤独でも、ともにどこまでも走っていけそうな曲たちです。「走る」「特殊筐体の」作品なので、どの曲もノリが良く疾走感があるのですが、それを支えているのが秀逸なメロディだと思います。
1面「URBAN TRAIL」。今でも音ゲーなどで使われているのが嬉しいですね。30年前の曲ですが、色あせない名曲です。
筆者のお気に入りは「FLY AWAY」。速い、切ないメロディが昔から大好きです。
そしてタイトル通り「熱い」「BURNING ROAD」。ベースラインが好きです。そしてさらに熱いのはラスボス曲「BOSS 6」、この作品のボス曲はどれも熱いのですが、やっぱりラスボス曲は輪をかけてかっこいいです!
「走り切った」あとに、何が待っているのか。ひとつの結末を表現している、エンディング曲「シ・メール」、そしてネームエントリー「commune」、この2曲だけ異質なのは、「走り切った」あとの曲だからではないかと思います。
最初から最後まで、「夜」であり、「疾走そしてその後」を表現した、かっこいい曲たちです。

Misaki’s Game Music Box vol.61 アルティメットエコロジー

アルティミットエコロジー
新声社 1994年1月22日発売(廃盤)

エコロジー/アーケード ゲームトラック
ソニーミュージックエンターテイメント 1994年2月2日発売(廃盤)

この作品のサントラは2種類出ています。まず、この作品は、新声社「ゲーメスト」誌の公募でゲームアイデアが出され、それをもとにカプコンが製作したのですが、その経緯もあってか、新声社から出ている盤と、カプコン作品の曲を当時出していたソニーから出ている盤です。
後者のソニー盤のほうが当時は入手しやすかったのですが、編集に難ありで、1.5ループしか収録されていません。謎。(曲順はちゃんとゲームの進行通りなのですが…)新声社盤は今では入手しづらいと思いますが、こちらは2ループ入っているので、曲順を自分で編集して聴くことをおすすめします。

作曲担当は西垣俊氏。この作品の後に、19XXを担当されることになります。
筆者にとっては、作品自体はPSP版カプコンクラシックスコレクションでしかやったことがないのですが、曲をCD発売当時から聴いている、思い入れのある作品です。
「この作品の曲のテーマって、なんだろう?」と、改めて考えてみたのですが、「環境破壊」を扱った本作品、曲の根底に流れているのは「守る」ということではないかと思いました。「星を守る」ということ、「環境を守る」ということ。ですが、サウンドが守りに入っているのではなく、「守り=攻め」なのではないかと、聴くことができます。本作品も、Qsoundの音源を活かした、生き生きとした曲を聴かせてくれます。STGですが、画面の明るい、どこかかわいらしい、丸みを帯びたキャラクター達に合わせて、曲もギターでかっこよく…ではなく、シンセやブラスで明るく爽やかなイメージです。

「緑の惑星」をイメージした、1面「グリーン・プラネット」。シンセのメロディが爽やかです。
筆者のお気に入りは2面、3面、そして4面です。2面「遊泳禁止水域」は水中面らしいイメージの曲。Bメロ(サビ?)で半音上がるのが好きです。巨大キャラも出るのでオケヒットがいい仕事をしています。(そしてカプコンの洗礼、2ボスが強い…)3面「アシッド・ドロップ」、ライナーより「曲を作る時、困ったのは、ステージ3の様に、空から、酸性雨の雨、そしてまた、空と、1つのステージで色々な展開があり、イメージがまとまらない事でした。」とありますが、空→酸性雨→上昇してまた空へ、という展開がちゃんと曲に表現されています!Bメロのシンセの重なり合い、そしてサビでオケヒットが盛り上げながら上昇というイメージが大好きです。4面「ゴヨーク鉄道で行こう」は、砂漠化した草原地帯の曲。そしてカプコン大好き列車砲台。こちらもオケヒットがうまく働いていると思います。メロディも伸びやかで好きです。
最終面「究極環境保護」。イントロから最終面らしく盛り上げてくれます!PSPカプコレのtrailerでこの曲が使われたときは嬉しかったですね!「守り→攻め」「この星の未来を賭けた最終決戦」のイメージが表現された曲だと思います。

個人的な想いなのですが、PSP版は4面ボスで詰んでいます…(言い訳:連射が付けられないので、ハンマー連付きの破壊力が使えない。言い訳ですが。)カプコンアーケードスタジアムにはまだ入っていないので、ぜひ入ってほしいですね!そして、曲も、多くの方に聴いてほしいなと思います。

Misaki’s Game Music Box vol.60 サイバーボッツ

サイバーボッツ/アーケード ゲームトラック
ソニーミュージックエンターテイメント 1995年8月2日発売(廃盤)

パワードギアの攻略が終盤を迎えたころ、突然発表された、同じメカを使った格闘ゲーム。パワードギア同様にギターを中心に据えた「かっこいい」「熱い」サウンドが特徴ですが、リードギター1本(と、バッキングギターとベース)でガシガシ鳴らしていたパワードギアに対し、こちらはシンセ、オケヒットを効果的に使い、「ドラマ性」の強化がサウンドに表れています。その「ドラマ性」が本作のテーマではないかと思います。
好きな作品ほど言語化するのが難しいなあと思っていて、本作も筆者にとっては思い入れの大きい作品ですが(格闘ゲームをクリアできたのはこれを含めて2作品しかありません)、当時からアルバムに物申したいのは、「3ループで2枚組」である点。なんでや…2ループで1枚でええやん…収録時間の関係なのか、それとも2枚組にして価格を上げようとしたのか。当時のソニー発売のカプコンアルバムは、サイトロン盤に耳慣れた世代にとっては「よくわからない編集」のものが多いのが難です。

本題に入って、推し曲のお話です。
「Megalopolis」は、前作パワードギア1面曲のアレンジです。結構大胆にアレンジされていますが、メロディラインに面影が聴き取れます。こちらはオケヒットが入り、ロボットヒーローものらしい熱さを感じさせます。
イントロが印象的な「GAITS Theme」。海田明里氏の作曲です。「めちゃ悩んだのでなんか変な曲になってしまいました」(ライナーより)とありますが、とてもかっこいい曲に仕上がっています。
落下する「POWER STATION」で、熱い戦い、熱い曲を聴くことができます。名曲なのですがストーリーだと特定キャラでしか聴くことができません…!シンセのメロディがとても熱いですね。
「COLONIAL SATELLITE」のイントロとメロディは静かなイメージです。そこにバッキングのギターが入り、本作らしさを表しています。サビのベースとバッキング、さらに重なるブラスが印象的です。
「VOLCANO」は、本作では珍しく、ギターではない曲です。オーケストラ調で、火山地帯の戦いを彩ります。オケヒットがシリアスな雰囲気を高めています。
そして、本作一番の人気曲?有名曲?「SUPER 8 Theme」は、メタルと演歌の融合したゲーム音楽!!一度聴いたら忘れられないphraseです。(パワードギアでは真面目な2ボスだったのになあ…)歌詞もあります。ライナーには2番までしか載っていませんが、設定資料集に続きの歌詞が載っています。筆者は4番まで全部歌えます!
「AIRPORT」は岩井孝之氏作曲、氏らしいギター前面押しの曲です。(余談なんですが、氏の曲を「パワードギア」「サイバーボッツ」で認識したので、後に氏が「ティンクルスタースプライツ」PS2版を担当されたのが、あまりにも印象がぶっ飛びすぎていて、幅の広さに驚きます。)
海底での戦いを描く「UNDERWATER 1」&「UNDERWATER 2」。ギター使われてないなーと思っていたらちゃんと入っていました。カプコンらしい「泣き」要素の曲です。個人的には「2」を推します。真夜中に聴きたい、そんな1曲です。
人気曲の「HELION Theme」、ギターが前面に出ていたパワードギア5面ボス曲と異なり(別の曲ではありますが)、ブラスシンセがメロディになり、ギターはちょっと後方へ。ですが速い弾きのギターがボスとの戦いを盛り上げてくれます!
「SPACE FLEET」はCPU戦で聴くことのできないレアな曲です。この曲の面ではCPU戦だとボスが出てくるので、対戦時限定の曲です。「VOLCANO」同様、オーケストラが盛り上げてくれます。
筆者の密かなお気に入り、「DOOMSDAY WEAPON」。これも特定キャラのストーリー終盤にならないと聴けない曲です。「SUPER 8 Theme」と同じ方が作曲。ホンマか…(演歌とシリアスで、ノリが違いすぎて。)ライナーで「ねちっこいフレーズ」と言われている、けだるいギターの弾きがたまりません。イントロ、アウトロのバッキングもかっこいいですね。
「WARLOCK Theme 1」、サイバーボッツでは「悪のボス」らしさが高まったように思えます。(パワードギアでは、「宿敵、ライバル」というイメージを受けていました。)ツインギター前面!!バッキングもかっこいいです。対して、「WARLOCK Theme 2」はサンタナのストーリーラスボス専用曲。本作のkeywordでもある「哀しみ」を表現した曲です。
エンディングは、おちゃらけもシリアスも、それぞれ画面と曲が一致しているのが本当に素晴らしい演出です。一番好きなのはガウェインのエンディング2曲ですね。(筆者の推しキャラはマリーですが。)

CPシステム2、Qsoundに入ってからのカプコン作品の曲は、それまで「音の弱さ」時代に培ってきた「じゃあどう表現するか、どう聴かせるか」というskillを開花させ、「映画音楽」のような「画面と音楽の融合、臨場感」を伝えてくれます。サイバーボッツもその1作品として、そして、後のCP2作品に、「映画音楽」の「ドラマ性」を伝えていると思います。

Misaki’s Game Music Box vol.59 パワードギア

パワード ギア/アーケード ゲームトラック
ソニーミュージックエンターテイメント 1994年12月1日発売(廃盤)

メカものベルトアクションである本作。サウンドの特徴は「ギター」バリバリである点です。エレキギター、エレキベース、ちょっぴりシンセとオケヒット。後述するサイバーボッツとの違いは、本作は(協力プレイもできますが)「戦うときはひとり、孤高」というサウンド展開がされていることだと思います。Qサウンドになったあとのカプコン曲ですが、「ギターの音がええのなくて自分で弾いたんや」「ギターをかっこよくリアルに再現してくれ!」(ライナーより)という点にも、作曲者の岩井孝之氏とサウンド担当の本気がうかがえます。
唯一、アルバムに注文をつけたいとするならば、曲の並び順がおかしい(と思う)点です。ゲームの展開順にしてほしい…今はパソコンで曲順を並べ替えるのも簡単にできるので、動画等を参照して、ゲームの登場順に曲を並べ替えることをお勧めします。

そんなギターサウンドがのっけから展開される1面。荒廃した大地と都市に似合うサウンドです。Bメロ(かな?)のツインギターがかっこいいです。
人気の高いライバル、ワーロックとの最初の対峙が繰り広げられる1面ボス。シンセなしの武骨なギターサウンドが、ボスとの戦いを彩ります。こちらもサビのツインギターがかっこいいですね。
shooting areaを経て、地球に降下した敵を追い詰める3面。イントロのギターが印象的です。曲に合わせてレーザーブレードを振れる、サビも印象に残っています。
5面は、本作では珍しく、シンセがメロディです。後ろではギターがギシギシ鳴っていますが。(この表現好きなのでブログで多用しています→)大地に吹く乾いた風をイメージした曲です。この辺からストーリーも激化していきます。
そして5-1ボスでワーロックMk2との再戦です。筆者は本作ではこの曲が一番好きです。イントロにオケヒットが入り、曲に臨場感が増しています。
さらに、列車内から出てくる5面ボスへリオンの曲もめちゃくちゃ好きです。こちらは本作らしい直球のギターサウンド、しかも弾きが速い!熱い一曲です!
ストーリーが”Truth”に直面する6面ボスnewワーロックとの1戦も熱い曲です。ワーロックという機体は、進化するごとにデザインが機械的から有機的になり、曲もギター中心からオケヒットを絡めたdramaticalなものになっていきます。まさに「宿敵」の1曲です。(個人的な想いなんですが、6面で明らかになる”Truth”で、果たしてアズラエル(ワーロックのパイロット)は「絶対悪」なのかという疑問が残ります。こういう、「絶対悪になり切れない」登場人物の描き方がものすごく好みです。)
そして最終面「STARRY OCEAN」。これまでの熱い曲を浄化するかのように、カプコン得意の泣きの要素で攻めてきます。イントロのシンセがずっと鳴っているのがめちゃくちゃ好き…いっぱいの星が瞬く夜空が目に浮かぶような、名曲です。

ゲーム音楽としてはかなり「尖って」いる本作。ですが、当時のカプコンの、「映画音楽的な」、臨場感ある展開を聴くことが出来ます。このくらい「作曲者の趣味」と、画面のイメージが一致した状態で自己主張していても、いいのではないかと思っています。

Misaki’s Game Music Box vol.58 ストリートファイターII ~イメージアルバム~

ストリートファイターⅡ ~イメージアルバム~
ポニーキャニオン サイトロンレーベル / 1991年11月21日発売(廃盤)

テーマがあるとすれば「スト2の『世界』」ではないかなと思います。「イメージアルバム」を冠している通り、各キャラクター、そして彼らが構成する『世界』がきちんと描かれているアルバムです。単に「原曲を打ち込みと演奏で鳴らしただけ」ではなく、各曲に在る個性を聴くことができます。

TITLE DEMOの「Theme of World Warriors」、「暗めの曲調が多いストIIの曲の中でアメリカンな明るさを求めて作った曲」(ライナーより)、「シリアスな戦いのゲームだけど、中はすごく楽しいよ!」ということを表現しているような気がします。明るく、聴くと元気が出る曲ですね!OPからキャラクターセレクトもメドレーでうまく繋げています。
リュウのテーマ「Go Flying through the Air」は、最初のピアノ~和太鼓がいいですね。メロディもピアノ中心で泣けます。主人公の真面目さ、実直さが表れている曲だと思います。
ダルシムのテーマは、曲名の”Meditation”(瞑想)の通りだと思います。安らかに、癒される曲です。
ザンギエフの「Solid and Tough」も、曲名=キャラクターのイメージ=曲の内容、です。ベースに気を取られてしまいますが、サビのスネアがいいですね。オシャレなアレンジです。
四天王のテーマは、メドレーですが違和感なく、しかし4人の個性が生きたままで繋がっています。バイソンのpartがお気に入り、あと、ベガのpartが静→動なのがすごくいいです。
本田のテーマは打ち込み中心。作曲時に「日本の変な曲」という強い指定があったという本アレンジは、実際の相撲の取り組みからサンプリングしたであろう合いの手や歓声、voiceが多数使われています。癖になりそうな1曲です。
筆者のお気に入り曲、ガイル「A Violent Emotion」。静かに、しかし内面はviolentである、キャラクターの個性が際立っています。ギターがメインで素直にかっこいい1曲です。
ケンのテーマは、イントロが、トップガンのサントラのtrack2「Might Wings」と酷似していると思うのですが、そこから取ったのでしょうか…
オケヒットがかっこいい1曲。こちらはシンセ中心で、ガイルやリュウとは違ったかっこよさです。
全部で10曲というのも非常にバランスがいい1枚です!

Misaki’s Game Music Box vol.57 FINAL FANTASY Vocal Collections 祈り & Love will grow

FINAL FANTASY Vocal Collections I -祈り-
NTT出版 1994年6月25日発売(廃盤)
(再販版)スクウェア・エニックス 2004年10月01日発売

FINAL FANTASY Vocal Collections II -Love will grow-
NTT出版 1995年11月25日発売(廃盤)
(再販版)スクウェア・エニックス 2004年10月01日発売

完成度の高いヴォーカルアルバム。初めて聴いたのは、FF6が発売したころだったと記憶しています。2枚に共通するテーマは、やはり「愛」ではないかと感じました。ファイナルファンタジーというシリーズの根源でもあるテーマを扱っています。初めて聴いたころから「英語」に大きく影響されていた筆者にとって、英語で(日本語もフランス語もありますが)ここまでゲームの世界を広げて歌うことが出来るのだと、驚きと同時に感動をもたらしたアルバムです。

透明感のあるchorusを聴かせてくれる「Prelude」。
「The Promised Land」では、「約束の地」に焦がれる思いを歌い上げています。英語詞がFF2の世界にもマッチしていてとてもいいです。あと英語歌唱がめっちゃ上手い!!
「時の放浪者」は、FF6ティナのテーマのアレンジ。あえて表メロディではなく、裏メロに歌詞を乗せて、力強く歌っています。
「光の中へ」はFF4愛のテーマ。囁くように、しかし思いを込めて、愛を歌っています。
「Voyage」はFF3より「果てしなき大海原」、「Once You Meet Her」は同じく3から「水の巫女エリア」のアレンジです。どちらも原作のイメージ通りなのが素晴らしい。後者のエリアのテーマは、ひとりの女性の美しさ、素晴らしさを英語詞に乗せています。
「Au Palais De Verre」は、FF1マトーヤの洞窟より。フランス語なので歌唱はわからないのですが(筆者はフランス語学習挫折組です)、おとぎ話のような物語を歌っています。イントロが切なく泣けます。
そして10曲目、「Pray」。FFという作品全体に流れる「生命」「愛」といった内容を、シリーズのテーマ曲でもある「ファイナルファンタジー」に乗せ、壮大に歌い上げています。後半に向かうにつれての盛り上がりが素晴らしいです。

さて、2枚目のLove will growについて。根底に流れるテーマは同じく「愛」なのですが、こちらのアルバムでは「孤独な魂が焦がれる愛」を歌った曲もある点に注目です。
まず1曲目の「Long Distance」がそれにあたります。ひとり残ったコンピューターに生まれた「感情」を、「ああ、この時を、伝えたい」と、力強く歌っています。
FF3「小人の村トーザス」より、「Have you ever seen me?」は歌のうまさが光る1曲です。筆者は英語脳なので、この曲の速さに「よく発音が回るなあ…」と、ただただ感嘆します。そのちょこちょこした速さも、小人たちから「僕を見たことある?」というメッセージの表れだと思います。
「GAIA」はFF1メインテーマのアレンジです。こちらも「生命」「愛」という内容を力強く歌っています。サビの歌唱の力強さ、伸びの広がりがすごいです。
「遠い日々の名残り」は、先に挙げた「孤独な魂が焦がれる気持ち」を歌っていますね。夕焼けを背に、思い出を振り返るような切ない曲です。
「神の揺り籠」は、FF6リルムのテーマ。短い中にどこまでも優しく、しかし力強く。後半のchorusも美しいですね。
そして、2枚のアルバムを通じて一番好きなのは、「Love will grow」、FF2エンディング曲です。英語も聴きやすくリスニングに最適?「愛は大きくなるよ」と、シリーズの普遍的なテーマを歌い上げています。
トリを締めるのは、Prelude。1枚目の「祈り」とは違ったアレンジで、違った表情を見せてくれます。オシャレなイメージです。

ヴォーカルものって書くの難しいですね…残念なことに、itunes等では流通していないのですが、アルバムは中古で安く流通しているので、FF好きな方にはぜひお勧めしたいアルバムです。古いアルバムですが、内容は古くない、これからもずっと在り続ける歌だと思います。

Misaki’s Game Music Box vol.56 ファイナルファンタジー3

ファイナルファンタジーIII 悠久の風伝説
ポリスター 1990年5月25日発売(廃盤)→再販版1994年3月25日発売(廃盤)

ファイナルファンタジーIII オリジナルサウンドヴァージョン(FC版)
NTT出版 1991年7月15日発売(廃盤)

https://music.apple.com/jp/album/final-fantasy-iii-original-soundtrack/62670337
https://mora.jp/package/43000021/SEMO-00003/

ファイナルファンタジーIII オリジナル・サウンドトラック(DS版)
スクウェア・エニックス 2006年9月20日発売

https://music.apple.com/jp/album/final-fantasy-iii-ds-version-original-soundtrack/362761769

筆者の人生初FF。なので向き合うのが略。
今回書くにあたり、3つのアルバムを繰り返し聴いたのですが、根底に流れるテーマは「優しい風」だと思います。
何がきっかけだったかはもう覚えていませんが、初めて聴いたFF3サントラは、最初に挙げた、廃盤の「悠久の風伝説」でした。(この「悠久の風伝説」が先に出て、1年後に、オリジナル音源のアルバムが発売されています。)このアルバムは7曲構成で、全てアレンジです。そして、今流通しているDS版アレンジより、原曲に近いアレンジだと思っています。各トラック冒頭に英語のnarrationが流れるのですが、そしてアルバムの3分の1はゲームでは流れないオリジナル曲なのですが、narrationと英語詞が、神…!!賛否両論あるとは思いますが、筆者は「原作を大切にしたアレンジ、英語」だと思います。
お気に入りはTrack2「風の啓示」。故郷の街ウル→悠久の風→バトル1のメドレーです。優しい雰囲気から一転してバトル曲になり、オリジナルのアウトロで幕を閉じます。
そしてTrack3の「彷徨の旅路」。冒頭の英語詞、Roaming Sheepが切なく優しいオリジナル英語曲です。
Track4「その大いなる導き」。冒頭の英語じゃない言語(ヘブライ語とからしい)の歌唱から、ドーガとウネの館へ。ピアノが泣けます。そしてオリジナル曲のThe Breeze、これも歌詞がいいです。

以下、FC版とDS版の話。
DS版は関戸剛氏と川盛慶次氏がarrangerです。原曲が偉大過ぎて、アレンジは大変だったのではないかと思います。それでも、DSの音源を活かして、原曲を大切にしているアレンジだと汲み取ることができます。
「クリスタルのある洞窟」、FC版Aメロの音の伸び、表現の仕方が素晴らしいと思います。(耳コピできないので、書くのが難しいです)
「バトル1」、FF3のバトル曲はパーカッションの工夫がいいですね。FC版のイントロが終わってすぐのパーカッションから熱いです。
「故郷の街ウル」「古代人の村」「アムルの街」と、FF3の街の曲はみんな優しい曲です。メロディに「優しい風」を感じさせます。
「悠久の風」も、「冒険の曲」なのに、とても優しい曲だと思います。サビの広がりがとてもいいです。
「小人の村トーザス」はvocalアレンジアルバム「Love will grow」に収録されているバージョンがとてもいいのです。そちらのバージョンは英語詞で、「小人!」って感じの詞を、「小人!」って感じに歌い上げています。
「バトル2」も熱いですね。FC版のBメロのパーカッションが熱い!サビのメロディも熱い!
「果てしなき大海原」と「水の巫女エリア」は、浮遊大陸を出てから聴く曲なので、「世界の広さ」を感じさせます。前者は残酷なまでに広く無限性すら感じさせる世界(実際、飛空艇で飛んでいて、なかなか次の地点が見つからない)、そして後者は、そんな広い世界の中でたどり着いた安らぎを表現していると思います。「果てしなき」のDS版ハープがいいですね。
「隠れ村ファルガバード」、FC版でループ直前にメロディの音量が上下しながらループするのがいいです(伝われ)。
「ドーガとウネの館」は、やはりFC版を推します…!!静かな中に来訪者(主人公たち)が来たという感じのイントロが大好きです。というかAメロもそれ以降も全部好き。
「禁断の地エウレカ」「クリスタルタワー」「闇のクリスタル」は終盤の思い出深い曲たち。特に「闇のクリスタル」、風さえも届かない闇の世界、そしてサビでその中に在る希望を表したメロディが秀逸です。「クリスタルタワー」は、いたストで使われたときは嬉しかったですね!
そしてラスボスの「最後の死闘」、やはりイントロのパーカッションが熱い!!DS版でも再現されていて嬉しい!!また、DS版サントラにはThe Black Magesのアレンジが収録されています。こちらも熱いロックアレンジ!!
「エンディング・テーマ」は、3部構成で、スタッフロールに移るときに「プレリュード」のphraseが入り、パーカッションが入る…という流れが大好きです。懐かしい気持ちになります。

全編通して、「優しさ」を表現した曲たち。今でも大好きです。(実はDS版をやっていないので、スマホでやりたいですね)

Misaki’s Game Music Box vol.55 マッスルボマー

マッスルボマー
ポニーキャニオン サイトロンレーベル / 1993年9月17日発売(廃盤)

Qsoundアルバム第二弾、そして、サイトロン最後のカプコンアルバム。どうも作曲者様は数名で担当されているようですね。それなのに曲に統一感があるのは、「ヒーロー」というテーマが根底に在るからではないかと、改めて考えました。正義のためのヒーローとは異なり、リングの上で、ただひたすらストイックに戦うヒーローたちの個性とかっこよさが詰まった曲たちです。
本作の曲は、大きく分けて二つに分かれます。ひとつは、各stageで流れる、「国」がイメージの曲。そして、各キャラ入場時に流れる、キャラクターのテーマ曲です。
1面のTokyoは、日本らしく三味線を取り入れたロック。低音のギターとうまくかみ合っています。
2面のMoscowからオケヒットが効果的に取り入れられています。要所要所で入る低音がかっこいい。
本作の筆者のお気に入り、4面London。イントロのオケヒットがかっこいいです。(オケヒットが効果的に入れられるようになったのは、カプコンでは本作が最初ではないかと思いました)
6面Calgaryもメロディがヒーローらしい曲ですね。サビの高音と、重なる低音がかっこいいです。(低音はベースかと思ったんですが、1面の楽譜を見たら、エレキギター?)
最終面(2周目もあるけど…)Sydney、最終面らしく、戦いをメロディと惜しげないパーカッションが彩ります!
各キャラのテーマ曲は、これもカプコン得意分野の、「キャラの個性を曲に落とし込む」やり方が効いています。
ザラゾフ、そしてコルトのテーマは、異なった視点と立場、生き方からの「ヒーロー」の曲です。個人的にはコルトのほうが曲もキャラも好きです。アウトロがいいですね。
ブドーのテーマ曲は、日本人らしく和太鼓と三味線ロック、それでいて「Mysterious」な曲です。和楽器が効果的に使われています。
猪突猛進といったイメージのシープのテーマ曲。ギターが攻めます!
そして最終ボスのアストロ、他のキャラたちとは異なる、彼も「悪の」「ヒーロー」ではないかと、曲を聴いて感じました。
つまるところ、どのキャラも「主役級」な曲たち。熱い名曲です。

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